V6『HELLO』について考えてみる
前の記事に☆をとばしてくださった方々、ありがとうございます
反応を頂けてとても嬉しいです
SVb発売から半年以上が経ち、20周年コンサートも無事終わってその円盤が発売された今、細波のように話題になっているHELLOという曲について引っかかるところがあったので色々と書き連ねてみたいと思います。
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最初に今更ながら断っておかなければならないことがひとつふたつ。
ひとつ。私は歌を聴いて、その世界観やそこに込められているものの考察をすることが好きです。個人的趣味でたびたびこのような文章を書いておりますが、そのほとんどは歌詞を手掛かりにしています。そこに音楽的知識は皆無です。しかし歌のほとんどは曲が先に作られ、そこに歌詞をのせていく、という順で制作されているようです。そのため私があれこれ考える手掛かりとしている歌詞は当然、曲に引っ張られていることを前提としなければなりません。もしかしたらそこには相互作用の関係も含まれ得るのかもしれません。が。作詞家さんと作曲家さんの意図は共通しているのだろうか?そもそも何か先行するイメージの注文があって作られた歌なのだろうか?などのような具合で風呂敷を広げてしまうと収拾がつかないので雰囲気で読み流していただければと思います。すべては【※個人の感想です】
もうひとつ。前項で歌詞歌詞言っておきながら情けないことに、この文章を書いている人間の英語力はとても残念なレベルです。日本語力も甚だ酷なレベルですがそれすらマシに思えるほどに英語力がありません。なので英語詞について何か的外れなことを述べていても笑って流していただければと思います。わらってーわらってー♪
以上、ハードルを下げるためのとてつもなく長い前置きを失礼致しました。
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○はじめに
はじめてこの歌を聴いたときの感想は『ED曲だ!』でした(語彙力)。画面半分に映像が流れ、もう半分の画面に黒い背景のエンドロールが出てくるようなイメージ。単純に曲だけ聴くと極端に重い空気をまとっているわけでもなく、直接的に悲しい出来事を歌っている詞でもありません。けれども仄暗く切ない。“HELLO HELLO”という声を振り絞るようにして発せられる呼びかけが真っ直ぐに届いてくるのでそこに胸を打たれます。
もともと、SVbに新しく収録された曲たちは3曲とも一筋縄ではいかない曲という印象を持っていました。ネットでは新曲3つは過去現在未来の三部作のようだ、とか『HELLO』はV6から離れて行ったかつてのファンへのメッセージのように聞こえる、といった感想が見受けられました。なるほど。しかしアルバム発売時点での私の感想は「とても好み。いい曲。でもどう噛み砕けばいいだろう」でした。何かが引っかかって、うまく消化しきれずにいたのです。それから半年以上が経ち、20周年コンサートおよびそのメイキング映像を受け改めてこの『HELLO』という曲は少し別項として扱われるものではないかという感想を持ちました。そのあたりのあれこれについて少し考えてみます。
○「そこにいない」ひとへ
SVbの新曲のうち20周年コンサートにおいてコンサート本編のセットリストに組み込まれた『Wait for you』や『~此処から~』と違い、この『HELLO』が披露されたのはアンコール。しかも歌われたのは数公演のみだったようです。コンサートのメイキング映像を見ると、メンバーがアンコール曲について話し合っている場面が何度かあるのですが、公演ごとに曲を変えて試行錯誤の結果“やっぱり最後はしっとり”という理由で最終日は『HELLO』に落ち着いたようでした(最終日前日10/31の公演ではHELLOは歌われなかったので本当に最後まで決めあぐねていたのかなぁと思います)。
また、最近明らかにされたことですが、この曲は制作されたケミカルボリュームさんが亡くなられたご友人を思って書かれたものとのこと(ご本人twitterおよび三宅さんのラヂオより)。こうした込められている思いなどをふまえたとき、この曲は20周年を祝う場所であるコンサートにおいて行き場をなくしてしまったように見えました。それは、この曲の受け手は「不在である」ためだからです。前述した“V6から離れて行ったかつてのファンへのメッセージのような歌だ”という感想を抱いた人がいたように、この曲は「そこにいない」ひとに向けて歌われているので、V6とファンとが“今”を共有するコンサートにおいては本編の中に入る余地がなかったのではないかと。だからアンコールにおいてもなお、今現在「そこにいる」ファンに向けてコンサートで歌う曲として位置づけるかどうか最後まで迷われていたのかもしれません。
○はろーはろー
Hello.というのは間投詞です。定型的な意味を持たない呼びかけのことばとして考えると、記号的な一面があるといえます。それだけに、歌詞で繰り返される“HELLO”がひどく苦しげな心の叫びにも似ていて、しかし決して弱々しいわけではないのが興味深いところ。いくら呼びかけたとしても、返事をするひとは「そこにいない」のですが、それもわかったうえで“届いていますか”“気付いていますか”“覚えていますか”と発し続ける。それはこの曲が“変わらないまま”“私はただ歌い続けて”いることの証しそのものであるからともいえます。“私”が“不確かな確かを確かめに行く旅”を続けているように、“あなた”も“歩き続けて”いるのだろうか、という問いかけからは、“私”の中にある“あなた”が止まっていることが浮かび上がる。“景色は変わりゆく”けれども、この歌の中に私はいるのだと自己の存在を訴えるような側面がこの曲に芯となっているというか、女々しさばかりでない切なさを作り上げているのだろうと思いました。
○おわりに
アイドルグループの曲でありながら、ちょっと癖のある性質のためか、この曲をテレビで観ることは叶っていません。今後のコンサートでもどのように位置づけられるのか難しい曲ですが、三宅さんがラヂオにて「凄く大事に大事にこの曲を歌いたい」とおっしゃっていたので、次にこの曲をV6がどのような形で披露してくれるのかを楽しみに待っていたいと思います。
V6新曲『~此処から~』について思ったこと
V6がたくさんの雑誌に出て、テレビにもたくさん出て…。怒涛の供給に自分が何を追えていて、何を追えていないのかもわからなくなってきました。ありがたいことです。
Vファンの友人に提出したレポートをせっかくなのでここでひっそりと晒してみたいと思います。題のとおり、『~此処から~』について思ったことを自分の中で整理するために書いた文章です。
とてもきもちわるい自己満足のための文章なので、読まれる方はご注意を。
友人へ もしこの記事を見つけてしまったら鼻で笑ってご一報ください
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『~此処から~』感想
○はじめに
新曲、『~此処から~』を自分なりに噛み砕いてみる。
まず前提として。私はわりと曲の詞をよくみます。なんとなく歌詞>メロディ派。そのため新曲を6人で作詞したときいて、いったいどんな詞ができたのだろうとわくわくしていました。over信者です。ハイ。モノが手元に来たとき、はてさてどんな詞となっているのかと曲をフルで聞く前に歌詞を全部書き写してみたのです。歌詞として、というよりもまず詩を受け取ってみようという考えです。だがしかし、そうしてみるとどうも、一見ストレートなようでいてこれはなかなかファンにとって難解なのでは…、と。そしてなによりこのタイトルの意味について引っかかったので、自分なりのあれこれを文章にして吐き出して消化を試みたいと思います。なお音楽の成績が散々だった私はメロディについて『あーいのっちっぽいなー』以外何も語れません。
○全体像
とてもとても素直な詩です。難しい言葉もない、ひねくれてもいない、それぞれが自分の言葉を使って書いたV6についての詩だ、と思いました。ことばの選択や内容で、なんとなく誰がどこを書いたのかわかります。そして全員の詞をまとめたのが井ノ原さんであるとぱっと分かるのが繰り返されるサビ部分。なおかつ歌詞にビールとか出てきちゃうあたりがいのっち。全体を俯瞰したとき、一貫性重視でまとめられているというよりも各々が書いた言葉をできるだけ生かすように作られていると感じました。言葉と内容に「個」が残っているので連歌形式のような具合です。曲として聞いていると、すっと入ってくる言葉と穏やかな曲調に流されてしまいそうにもなりますが視点がバラバラなので引っかかる部分がある。曲のままに言葉を辿っていくと、個を追うことになるので特に不自然さを感じないのですが、ひとつのまとまりとして捉えようとしたときに違和感を覚えるといった具合の第一印象でした。
○分解
バラバラならいっそよりバラバラにしてしまおうそうしよう。一人ひとりがどんな詞を書いたのか、その全容をぜひとも知りたい。書いたもの全部みせてくれ、っていうのが本音ですが今のこところそれが叶う気配はないのでとりあえず歌詞を分解してみます。基本的に歌っている人がその部分を書いた、ということになっているのでそれに則る。パートをチェンジしたとわかっているところは戻す。大雑把なまとめは以下のとおり。
坂本 |
長野 |
井ノ原 |
森田 |
三宅 |
岡田 |
? |
・多分このまま続くんだろう 言葉にできない関係で ・必ず訪れる 明日を共に描こう |
・それぞれの色が 重なり合って 見たこともない光が 僕等を導いてく ・感じた 温もりの分だけ 伝えたいけど 照れ臭いから 心に思うよ |
・ビールの泡みたいに 僕等消えてしまうことだって出来たのに
|
・丁度いい距離たもちながら ユラユラと流れてきた ・けだるく挨拶しようぜ 軽く手なんかあげちゃって (・此処からいなくならないで) |
・感謝なんてしたくない サヨナラはまだ早いから ・他人 友達 家族 仲間 どこにも当てはまらない (・此処からいなくならないで) |
・気付けなかったんだ 若さのせいかな 目の前の情熱で 互いの優しさが見えなくて ・僕を変えてくれた人 優しさを教えてくれた人 |
・いつもの調子で行こうぜ ・いとしい後悔 背負って ・涙した夜を連れて |
現在の心情と先への展望について |
過去を肯定する視線での回顧 |
現在およびその日常の肯定 |
対メンバーへの思い |
過去の内省 |
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(※「此処から~」部分、歌っているのは健くんですが剛くんがこのフレーズを書いている様子もSVbに映っていたため双方に記載)
こうしてみてみるとなんとなく、それぞれがどんなテイストの詞を書いたのか見えてくる気がしたので勝手にラベリングしました(井ノ原さんが年長二人は同じような内容だったとネクジェネで発言していたのでまとめました)。サビの一部にあるフレーズは一応<?>として分類(いのっちかな?)。ここで改めて内容を見直すと、先のこと⇔過去のこと、自分のこと⇔メンバーのこと、グループ⇔個人…とバラバラ。まとまりなんてないわけです。ただ、どの言葉も「現在」の時間軸の上にあることは確か。すべて「現在」から見た、過去・未来・自分・メンバー・グループについての思いが表された(著された)ものでした。
○タイトルの意味
V6にレッテルを貼りたくないんだなー過去を愛おしんでいるんだなーとか、歌詞の一字一句について取り上げていくと長くなるので割愛。一番びっくりしたというか、予想外だったというか、ウワァァってなったのがタイトルについてでした。なぜか。『~此処から~』って実はもっと騒ぐべきタイトルなのでは…?ってなったからです。はじめ、このタイトルの意味は“リスタート”“再出発”といった方向性のものかと思っていました。歌詞を2/3くらい書き写すまではそう思っていました。歌の後半一箇所にだけこの「此処から」という語句が登場します「感謝なんてしないけど 此処からいなくならないで」というとてつもない文脈を伴って。「此処からいなくならないで」…このフレーズ歌っているのは健くん(+井ノ原さん)なのですが、剛くんもこの言葉を書いていたようなのですよね…剛くんが書いたものを健くんが歌っているのか、二人ともこのニュアンスの言葉を書いていたのか…いずれにしてもこんな言葉がメンバーから発せられてメンバーに向けられるのはすごいとしか言いようがありません…尊い…。このタイトル、表記についても同様に一癖も二癖もある趣向が凝らされています。語句の前後に付随している『~』。この記号は複数の読み方が可能です。先述した「(感謝なんてしないけど)此処から(いなくならないで)」の前後を省略した形の表記としての解釈、また此処=現在とすると「(過去)此処から(未来)」の流れを表現するものとしての解釈、『此処から』と語句のみの表記にせず前後に『~』を入れてゆとりを持たせることで「此処から」の広がりを示すという解釈。素直に言葉だけを受け取って“再出発”のように解釈することも間違いではないはず。解釈の正解があるのかないのか、どこまでの意図が込められているのかは分かりませんが、とても一筋縄ではいかないタイトル。30周年くらいまでに真相が明らかになることを望みます。
○作り手と受け手
モノが作られるとき、必ずターゲットが設定され、受け手が念頭に置かれてモノが作られる。では、メンバーが“V6”を歌詞にしたこの曲、受け手として設定されたのは誰なのだろうかという疑問を持ちました。CDを購入するのがファンである以上、CDのターゲットはファンである。しかしこの歌詞の中にファンは不在です。作詞作曲をした作り手はメンバーですが、受け手はファンではないのでは。“V6”を歌詞にしたこの曲はいわば、V6によるV6のためのV6についての楽曲。かっこよくするとfrom V6 to V6 のような感じ。この曲はV6自身が作り手であり、受け手であるから、“わかる”のもV6だけなのだろうという理解です。6人だけがわかっていればいい、という形。この曲においてファンはあくまで外側にいるものでしかないのだろうと思いました。イベントでいのっちが「6人で内側向いて歌うような楽曲で~」との趣旨の発言をしたというのもそのためかと。このあたりのことは、コンサートでどのようにこの曲が披露されるのかによっても受け取り方が変わる部分ですねもし6人で輪になって内側向いて歌われたらとりあえず拝みます。
○おわりに
V6がV6について書いた詞はとても興味深いものでした。この曲の内容では現在の視点に立って過去現在未来が書かれていましたが、いずれに対しても肯定的な言葉で言い表されています。至らなかったこともある過去を受容し、現在を首肯していて、なおかつ先への疑いがない。これは本当に「今」が良い状態でなければできないことであって、それがメンバーの総意であることが一ファンとして嬉しいです。
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